編集後記集
【メルマガIDN 第133号 071015】

■編集後記 スペイン紀行2007 【その2】ソルソーナ市で花展の開催~準備・フェスタの開会・晩餐会~
 先発組のメンバーは、長旅の疲れを残しながら、朝食済ませて9時半にホテルのロビーに集合。虔之介さんの案内で旧市街の細い道を歩いて教会へ行き、花展を行う廻廊のある広場へあしを踏み入れた。以前に入手していた図面と写真を見て描いていた空間のイメージを実感し、これからの展開に期待を膨らませた。

 仕事を始める前に、このカテドラルの主のマリア様へご挨拶に行った。ソルソーナのサンタ・マリア大聖堂は12世紀に建設され、その後何度か増改築が繰り返されてきた。この大聖堂の本尊は石造りの「黒い母子像」である。マリア様へギャラリーをお借りするお礼を述べ、今回の花展の成功を祈った。

 いよいよ行動開始。チームを2班編成とする。1班は会場の配置と全日程のスケジュールの確認。2班は既に準備できているお花の確認と調達。今回お花の係りをしてくれている虔之介さんの奥さんの和子さんの案内で2班のメンバーが出発。花屋さんに行って準備されているお花を確認。その後、虔之介さんの次男の徹心君の奥さんの実家が経営している農園で大量の枝物や花を調達。農園のご主人は、早朝から山へ行って大きな松の木を採ってきてくれたらしい。調達班は農園で丁重にお茶のもてなしも受け、その心配りに感動しながら昼過ぎに会場へもどって来た。

 1班の仕事は、調達できている材で花工房(花道教室)実施するためのテーブルのしつらえとその配置。フェスタ(お祭り)のオープニングの会場にもこの場所が使用されるので、場所の使い方を十分に検討し決定した。
 また花工房で製作された作品の展示する位置も決めた。われわれが製作した作品については、前もって考えていた案をもとに、回廊のひとつの辺に2作品を展示し、デモンストレーションで製作された作品は中央の広場の一角にその展示場所を定めた。

 スケジュールの確認としては、5日は準備、6日は活けこみと夕方からのオープニングセレモニーへの参加、その後の晩餐会、7日の花展の本番の詳細な時間割を重点的に検討し、8日のバロセロナへの小旅行についても確認した。

 昼過ぎに後発組がホテルへ到着し、荷物を部屋に置いてその足で会場へ。そして参加者全員の顔がそろった。ソルソーナの標準時間である2時過ぎから近くのレストランで昼食。その後、会場に戻って、花材をそれぞれの作品ごとに仕分けをし、下ごしらえをした。
 夜は、参加者全員の結束と虔之介さん一家へのご挨拶を兼ねての夕食会。花展の成功を期して2日目の日程を終えた。

 3日目(9月6日)は忙しい一日となった。会場の設営が仕事始め。支柱に天板を載せてテーブルを作り、レイアウト案に合わせてテーブルを並べ、表面に白い紙のシートをかぶせて仕上げる。かなりの力仕事である。毎年千葉で開催している千葉ブロックの花展の会場設営の経験とチームワークが威力を発揮し、困難を予想した作業がスムースに終了した。

 平行して会長の作品の製作がメンバーの協力を得て進行。廻廊の所定の場所でも活け込みが始まる。出前のサンドイッチを食べながらの強行軍。
 会長の作品のめどが付いたところで、詞音君の通訳を交えたリハーサルを始めた。会長の挨拶、花工房の進行、デモンストレーションと作品の説明について、詞音君の通訳との間のとり方なども入念にチェックした。

 明日に向けての準備が一段落したところで、会長と副会長とT先生はホテルに戻って着物に着替えて市長訪問に備える。私もスーツに着替えた。バロセロナから佐藤仁彦領事も到着。虔之介さんの案内でホテルから歩いて5分ほどのところにある市役所へ市長を訪問。市長の名前はXavier Jounouさん。中道右派から今年の5月に交代した中道左派の新市長とのこと。

 オープニングセレモニーが始まる前に、市長が私たちの作品を見てくれた。各製作者が待機して作品の趣旨などを説明し、詞音君が通訳してくれた。

 夜の8時よりオープニングセレモニーが始まる。KEN OFFICEの代表の虔之介さんが主催者としての開会の挨拶のあと、松風花道会の大崎会長、佐藤領事、市長の順に挨拶があり、ソプラノのソロを聴いて乾杯し懇談に移った。しばらくの休憩のあと、聖堂の中にあふれんばかりの市民が集まり、マリア様の前で聖歌隊と市民グループの合唱を聞く。合唱団の中にアルトのパートの一員である和子さんの顔も見えた。合唱が毎年のオープニングセレモニーの最後を飾るらしい。
 
フェスタ(祭り)のオープニングで雰囲気を盛り上げた
 場所をホテルに移して、9時半より晩餐会が始まる。総勢38名が3つのテーブルに分かれて着席。それぞれのテーブルに、虔之介さん、徹心君、詞音君がついて会話のサポートをしてくれる。

 参加者の皆様へのお土産に、京都のぴょんぴょん堂の和紙マットと手ぬぐいを差し上げた。いずれも十二支の絵が入っているもの。「晩餐会」のアトラクションで「十二支占い」を行った。「生年と十二支の対応表」、「十二支の特徴一覧(英文入り)」を準備した。それぞれの干支に相当する人に起立してもらい、アトラクションの司会の女性2人がgood pointとbad pointを読み上げ、詞音君が通訳してくれた。

 十二支」占いでも盛り上がり、ワインと食事の晩餐会は楽しく終了した。ソルソーナの人たちは12時を回っても元気が衰えない。われわれの仲間は疲れが相当に蓄積しており、失礼をして退席させてもらった。私は日本代表として一人残って最後までお付き合いした。この間短いスピーチをさせてもらったあと市長が握手を求めに来てくれた。お開きになったのは1時過ぎ。
 ここまでの行程はいわば前座、明日の本番に備えて眠りに付いた。

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