《シニアネット・フォーラム2010 in 東北》に参加した
【メルマガIDN編集後記 第204号 101015】

 財団法人ニューメディア開発協会主催の《シニアネットフォーラム21》が毎年開催されている。例年、地方での開催が1回、東京での開催が1回という方式で続けられてきた。2010年度の特徴は、地方の3か所での開催が計画され、テーマがシニア情報生活アドバイザーに特化されていることである。
 2010年10月4日(月)に仙台市シルバーセンター交流ホールで開催された《シニアネットフォーラム2010 in 東北 ~シニア情報生活アドバイザー活動研究会~》に参加した。


フォーラムの会場 仙台市シルバーセンター交流ホール



会場風景:セッション1&2の事例報告



会場風景:パネル討論
【写真提供:仙台シニアネットクラブ】


パネラー
 ・村口  理氏:NPO法人IT支援ネットあおもり理事長(青森県)
 ・平野  慎氏:アスプカルコンピュータースクール代表取締役(山形県)
 ・武藤 正勝氏:NPO法人イーエルダー東北支部東北支部長(宮城県)
 ・井上 文雄氏:NPO法人仙台シニアネットクラブ理事長(宮城県)

オープニングセッション
 主催者である(財)ニューメディア開発協会の岡部理事長の開会の挨拶のあと、後援者である、東北経済産業局長、宮城県知事、仙台市長よりの来賓挨拶(いずれも代理)があった。

基調講演
 基調講演は、辻 一郎教授(東北大学大学院 医学系研究科公衆衛生学分野)の《社会参加と生きがいづくり~IT社会への期待~》。印象に残っている4つのお話を下記に記す。

 4万人ほどの百歳の人(男性は10%、西高東低)を対象にした調査結果から、百寿者に多い性格は、男性は《開放性》、女性は《開放性+外向性+誠実性》である。

 中年期に無口で頑固な人は認知症になりやすい、活動的な人は認知症の発生リスクが低下するので、社会参加が重要。

 物理的にすべての人の脳の劣化は避けられない。しかし、《予備脳》には無限の可能性があり、認知症の進行を妨げてくれる。《予備脳》を増やすには、社会的なネットワークを持ち、ポジティブな意識を持ち活動することである。

 最後に、地縁・血縁・職縁を超えて、《知縁》の重要性が強調された。ICTが知縁型社会の基盤となり、シニアが時空を超えて、健康で知的にも長寿を保つ可能性を秘めている。

セッション1&2:事例報告
 事例報告として、前半のセッション1(①~③)では、ICTに関わる活動を中心に、後半のセッション2(④~⑤)では、ICTのほか広範な活動に対する報告があった。

① NPO法人豊齢研ITサロン会津:長谷川 友仁代表理事
《パソコン自遊楽校》はパソコンを学ぶ場というよりパソコンやインターネットになじむ場でありくつろぎの場をミックスしたもの、すなわち《サロン》を目指している

② NPO法人いわてシニアネット:千葉 文夫理事長
IT事業部会(IT講習会・講師サポーター派遣・パソコン相談会)、交流部会(ITサロンの運営)、広報部会(ホームページの企画運営)の3部会で運営している

③ NPO法人パソコン・ネット・みやぎ:渡部 俊幸理事長
《身に付けたパソコンの技術を生かせる場をつくろう》と、平成13年に登米・栗原地区の迫町でNPOとして発足。9町で無料パソコン教室を巡回している

④ NPO法人あきたパートナーシップ:千田 節子事業推進課長代理
市民と行政が協働してまちづくりを進める市民参加社会を構築することを目的に活動している。患者塾(患者と医療関係者の意見交換)やNPOを支援する各種講座を実施している

⑤ シニアのための市民ネットワーク仙台:緑川 斐雄副理事長
《ゆくところがある・会う人がいる・することがある》をモットーに、12の活動グループ(3名以上の発起人が自主管理運営)、16の講座(事務局が運営)から成る

パネル討論~シニア情報生活アドバイザーの活動~
 最後に、テーマをシニア情報生活アドバイザーに焦点を絞ったパネル討論が行なわれた。パネラーは4名、コーディネーターの役を私が務めた。

 アドバイザー制度では2001年より養成講座を実施しており、資格認定取得者累計は約4000名、未更新者による減耗などにより資格保有者数は約3000名となっている。全国に百を超す養成講座実施団体が活動しており、シニアネットがその主体となっている。
 東北6県においては、8団体がアドバイザー講座を実施しており、各県には1~2の実施団体が存在し、実施団体のない県もある。東北6県のアドバイザー数は124名で、今回のパネラーが所属する団体のアドバイザーの養成者数は、2名、50名、27名、56名である。

 準備段階では、討議テーマとして、
  (1)アドバイザー新規受講者及び更新者の減少に対する対応
  (2)IT環境・新技術の急激な変化に対するアドバイザーのスキル向上について
を想定していたが、当日の朝からの事例発表を聞いて、アドバイザーに関わる《問題解決》型のテーマから、参加者に対する《啓蒙》型の話題に変更して、1時間半のパネル討論を行った。それぞれの団体のアドバイザー講座の実施と、資格認定取得者に対するその後のフォローについての実情と悩みについて発言してもらった。

 フロアーからの発言もできるだけ求めるようにした。アドバイザー講座を実施したいが、サーポートしてもらえる術があるかという前向きな質問も出た。

エピローグ
 東北においても、初心者にパソコンやインターネットを教えることは活発に行われていることが、事例発表をとおして知ることができた。
 このようなイベントをきっかけにして、アドバイザーの資格取得を目指す人が現れ、アドバイザー講座を実施したいという団体がたくさん出てくることを期待したい。このような趣旨で、パネル討論の最後の挨拶とした。パネル討論を通して、アドバイザーの実情を理解してもらうように試みたつもりであるが、その成果については参加者の判断にゆだねることにしたい。

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