謂れとかたち
2008年にヨーロッパで出会った龍と竜
ハンス・フォン・マレーの《The Dragon Slayer(竜を退治するひと)》

旧ナショナルギャラリー Alte Nationalgalerie
1867年から9年の歳月をかけて完成
19世紀後半から20世紀初頭のドイツ絵画を中心に展示している

1997年から大規模な修復工事が行われ2000年11月に再オープン
アドルフ・メンツェル、カスパー・ダビッド・フリードリッヒなどドイツ絵画
モネ、セザンヌ、ゴーギャン、ルノアールなどのフランス印象派の作品も展示してある


旧ナショナルギャラリー Alte Nationalgalerie
【出典:Wikipedia】


旧ナショナルギャラリー Alte Nationalgalerie
【2008年3月に撮影】

作者: Hans von Marées(ハンス・フォン・マレー):(1837-1887)
名称: Der Drachentöter :The Dragon Slayer (英訳名)
『竜退治(ドラゴン・スレイヤー)』
制作年: 1880年
寄贈: Geschenk von Cosima Wagner 1899
コジマ・ワーグナーによる寄贈
コジマ・ワーグナーは、作曲家リヒャルト・ワーグナーの妻
(フランツ・リストの娘)
ワーグナー家(特にコジマ)は
ハンス・フォン・マレーの芸術を高く評価し支援・コレクトしていた
この作品はワーグナー家から1899年に
バイエルン州立絵画コレクション(アルテ・ピナコテーク/ノイエ・ピナコテーク)へ寄贈されたもの

作品の説明
ハンス・フォン・マレーについての知識がなく、ネットで調べた
高阪一治氏の39ページにわたる論文(注)『コンラート・フィードラー《ハンス・フォン・マレー》』より
ハンス・フォン・マレーにかかわる記述について拾ってみる
19世紀後半の「ローマのドイツ人画家ないし美術家」(Deutsch-Ro¨mer)の代表的人物のひとり
ドイツ美術史でも欠かすことができない
対仏戦争に勝利した後成立したドイツ帝国の公権力は美術に対しても国民意識の高揚を図る文化政策を強いた
ハンス・フォン・マレーはアルプスを越えてひとり画業に没頭した
絶えず自然との美術的な関係を直接に表明し得る形を見いだそうと努力していた
古代世界、聖書に出てくる二、三の物語、聖ゲオルギウス、聖フベルトゥス,聖マルティヌスのような聖人たち
こうしたものが彼の想像力を掻き立てた
(注)高阪一治:鳥取大学地域学部附属芸術文化センター教授,美学・美術史,文化政策
論文:地域学論集第2巻第1号(2005)
◆◆
ゲオルギウスが成熟した男性として描かれている理由
聖ゲオルギウスは白い馬に跨がる若き騎士として描かれるのが図像上の定番

画家自身の「自画像(セルフ・ポートレート)」であるため
作品のゲオルギウスの顔を自分自身の姿(自画像)として描いた

芸術家としての葛藤」の投影
理想の美を追い求め
自らの芸術的葛藤や世間の無理解(悪=竜)と一人闘い続ける自分自身の姿を象徴している


The Dragon Slayer(竜退治)
【2008年3月に撮影】



退治されるドラゴン
 

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