干支と裏干支で縁起を担ぐ
【メルマガIDN編集後記 第282号 140115】

 お守り、お札、根付など、生まれ年の干支を身に付ける風習は「無病息災・厄除祈念」として また、その年の干支を飾り敬う事で「家内安全・商売繁盛」ともされ更に、人に授ける事で「招福祈願・安寧長寿」などともされる縁起物として古くから大切に担がれてきた。

干支は十二支と十干の組み合わせ
 干支(えと)と言えば、子・丑・寅など十二支の意味に使うことが多いが、十二支の「支」と十干(じっかん)の「干」を合わせて干支というのが正しい。
 十二支とは子(鼠)から亥(猪)までの十二の支をいい、十二年ごとに一巡する年回りを示す。十二支の本来は、木星が12年で天を一周することから、中国の天文学で、木星の位置を示すために天を十二分した場合の称呼である。
 十干(じっかん)とは、甲・乙・丙・丁など、1から10番目までをさすもので、甲(こう:きのえ)から癸(き:みずのと)までの10の干をいい、10年で一巡する。

 自分が生まれた年の干支は、60年後に再びやってくることから、60歳になることを、還暦(かんれき)をむかえるという。還暦の還は「一周してもどる」という意味で、暦は「こよみ」という意味である。
(十二支と十干についてはメルマガIDN第129号の《干支談義》を参考にしていただきたい)



開運厄除け十二支大吉祥

 
表と裏の十二支


江戸切子のグラス(一代目)

辰の切子(二代目)

戌の切子(二代目)


方位磁石
【竹中大工道具館 1985年11月のカレンダーより】

十二支の意味するところ
 生年に対応した十二支の特徴については、たくさんの説があるが、いくつかの説に私見も入れて以下に紹介する。

:愛想が良く、気配りができ、清潔。欲深く、色事で失敗することが多い。二匹の夫婦のねずみが一年の終わりにはねずみ算で二百何十億にも増える、という子孫繁栄の意もある

:真面目で、忍耐強く、働き者。強情で、口下手が多い。牛は人間社会と密接な関係 肉は大切な食料 骨も文字を刻む大切な材料として役に立ち

:大胆、思慮深い、慈悲の心がある。自信過剰で、我儘なところがある。神秘的なものとも考えられ、畏ろしいものとみられる

:情にもろく、愛嬌があり、才覚がある。根気が無く、男女間のトラブルが多い。優しくおだやかな姿は家内安泰の象徴、その躍動感は大いなる飛躍を約す

:自尊心が強く、機敏で、一途。愛想が悪く、短気な人が多い。龍は霊獣である 瑞兆(ずいちょう)がある 

:思慮分別があり、冷静沈着で、金運がある。猜疑心が強く、嫉妬深い面がある。漁師が白蛇を助けたら巨万の富をもたらせたという話がある

:陽気、人気者、面倒見が良い。軽率で、短絡的なところがある。昔から、人々に多くの役立ちをしてくれた

:温和、慈悲心に富み、親切。臆病で、マイナス思考になりがち。大勢が一緒になって共同一致することを意味する『群』という字が「羊」

:器用、利口、財運がある。飽きっぽく、意地悪なところがある。神山王の使者として信じられる

:賢明、世渡り上手で、弁舌が立つ。移り気で、多忙なわりに結実し難い。直接人間に役立つもの。時をつくって時間を知らせる

:義理堅く、正直で、勤勉。偏屈で、すぐにくよくよしがち。犬は人に忠実、主人からみればこれほど親しみを感じる動物はない

:潔白で、決断力があり、侠気がある。短気で、頑固者が多い。「いの子餅」を食べる祝いで、その餅を食べると、万病を防ぐまじない

干支と裏干支で縁起を担ぐお話
 裏干支とは、自分の生まれ年の干支から六つ先に位置する干支、または、自分の干支を一番目として七番目の干支のことを言い、十二支を円形に配置したときに、ちょうど反対側に位置することもあり、《向かい干支・逆さ干支》とも云われる。
 自らの生まれ干支と裏干支を併せ持つ事で、相互の干支の足りない部分を補い合い、高め合う事で目の届かない後方も守られると云われている。
 私の場合は、辰の「自尊心が強く、機敏で、一途。愛想が悪く、短気」という性格を、戌が「義理堅く、正直で、勤勉」になるように補ってくれる。

《開運厄除け十二支大吉祥》で自分の裏干支を知る
 写真に示す《開運厄除け十二支大吉祥》は、2008年に東京の明治座の3階ロビーで撮影したもの。当日、菊匠の4代目の江戸凧職人である小塚孝敏氏が明治座の3階ロビーで実演販売を行っていた。「写真? 撮ってもいいよ」といってくれたので、展示物の中で龍がデザインされている凧などを撮影しているときに見つけた。
 劇場での幕間と芝居のはねた後がかきいれどき。《職人》の口上にも一段と熱が入り、客をひきつる。裏干支の説明を聞いて、たくさんの客が表と裏の御守りを買っていた。

辰と戌の江戸切子の十二支をあしらったグラス
 切子(きりこ)とはいわゆる《カットグラス》のこと。《江戸切子》や《薩摩切子》に代表される切子は、菱切子と、花切子の2種類に分類される。菱切子はダイヤ・砥石などで彫刻したものを磨いて、カット面をダイヤのように光沢を出したもの。花切子はガラスの表面を皮をはぐように非常に浅く摺りガラス状に文様を彫ったもので、少し薄めの素材に向いている。手の動かし方は普通の切子よりむしろ難しいが、切子より短時間で仕上がるので価格は安い。

 紹介するグラスは、但野ガラス加工所の但野英芳氏の作品。破損した最初のグラスは表の辰のみを彫ったものだったが、新しいグラス(二代目)のときに、裏干支の戌の文様も彫ってもらった。毎日使っているせいもあって二代目のグラスも破損。昨年(2013年)の暮れに求めた三代目のグラスにも表と裏の十二支を彫ってもらった。

エピローグ
 裏干支を簡単に知るためには、十二支を円形に並べればすぐにわかる。菊匠の4代目が裏干支の説明をしていた《開運厄除け十二支大吉祥》は図柄も可愛いもので、私のお気に入りである。
 写真で紹介するのは、《方位磁石》。この方位磁石は江戸後期の作であり、「文化二年二月求之 大工吉田重右衛門」と円形掘り抜き容器の裏に書かれている。


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